2011/10/13

もし浦和が不調でなく、FC東京が降格していなかったら



通称『もしウラ』が始まります




2011年のJ11試合平均観客動員数は、28節を終えて15,441人。2010年が18,428人だから、1試合に約3,000(2,987)ずつも減っている。
(Jリーグ公式サイト http://www.j-league.or.jp/data/ に基づく)


この要因ってなんだろう?震災の影響?今回は1つ仮説を立てて検証してみる。
すなわちタイトルの「もし浦和が不調でなく、FC東京が降格していなかったら」だ。


この2クラブはともに知名度が高く、観客動員数でも上位である。浦和レッズサポの熱さはよく知られているし、FC東京サポは交通の便の良さからなのか、アウェイの動員力が凄いのだとたまに目にする。アウェイのスタジアムに大挙して押し掛けてはスタジアムグルメを食い尽くしていくとかで、一部では「イナゴ軍団」と呼ばれていたりw

そしてこの2クラブは2011年の今、ともに不調だ。浦和レッズは降格争いを演じてしまっているし、観客動員数がガクンと落ちている。FC東京に至ってはJ1にすらいない。でもこれが彼らの、本来の姿ではないことを期待している。やっぱり人気クラブはいつも強くあってほしいのだ。

「観客激減、Jリーグピンチ」みたいな煽り記事っぽいのが出ると思うが、その前に要因を探ってみるのも一興ではないだろうか。そんな気持ちでちょっと調べてみた。
『浦和レッズが好調で昨年度と同じ観客数を維持できており、FC東京がJ1に残留していたら、観客動員数2,987人減ってのは結構なくなるのでは?震災の影響とか、飽きられたとかじゃないのでは?』





【計算する】

まず、この2クラブの観客として2つのタイプを考えなければならない。すなわちホームゲームでの観客と、アウェイゲームでの観客。

   ホームゲーム

ホームゲームの動員力ならば、Jリーグ公式サイトに載っているものでOKだ。

浦和:
2011年現時点(ホーム13試合消化)の浦和は総動員数422,228人、1試合平均観客動員数は32,479人。2010年の1試合平均観客動員数は39,941(1試合7,462人も減っている計算になる)で、これを2011年現時点に当てはめると総動員数は519,233人と、97,006人増える。

FC東京:
FC東京は今年J1にはいないので、J2から昇格してきたクラブと置き換えて考えるのがいいのでは。昇格組は甲府・福岡・柏だが、2011年の甲府・福岡を合わせた平均観客動員数(11,809+10,004)と、FC東京と同様に降格した2010年の京都・湘南を合わせた平均観客動員数(10,510+11,905)はほぼ同じになっている。そのため柏とFC東京を置き換えて考えることにしよう。柏サポの方、ごめん!

2011年現時点(ホーム14試合消化)の柏は総動員数170,502人、1試合平均観客動員数は12,179人。2010年のFC東京の1試合平均観客動員数は25,112人で、これを2011年の柏の現時点に当てはめると総動員数は351,568人と、181,066人増える。




   アウェイゲーム

アウェイゲームの動員力を測るのはとても難しい。とりあえず考えたのは、対戦クラブのvs浦和、vsFC東京というホームゲームで、その1つ前()のとの観客動員数の差を出し、すべてのクラブでその差を出した後、平均値を出すというもの。これだと1つ前の対戦相手の人気度や結果などに影響を受けてしまうのだが、今のところ他に思いつかなかった。もし何か良いアイディアがあれば教えてほしい。

浦和:
予想はしていたことだが、「イナゴ軍団」FC東京よりも浦和はアウェイ動員力がある。浦和戦の観客動員数は伸びるということを見越して、いくつかのクラブは開催スタジアムを大きいものに変えるほどだ。(仙台、大宮、清水、磐田、名古屋あたり)

浦和のアウェイ動員力は2010年は7,406人、2011年には4,807人と2,599人の差が出ている。これを2011年現時点の浦和のアウェイゲーム15試合にそれぞれ足していくと、38,985人の増加になる。

FC東京:
FC東京の2010年のアウェイ動員力は3,287人であった。降格するほど成績が悪かったこともあるのか、他クラブとの差はそれほどないといえる。スタジアムグルメの消費量はまた別途研究を要するがw

柏には特筆すべきアウェイ動員力がないと仮定して(柏サポ重ねてごめん!)2011年現時点の柏のアウェイゲーム14試合と置き換えてそれぞれ足していくと、46,018人増加する計算になった。




【まとめる】

2010年の観客動員力を維持した浦和は、ホームゲーム13試合で今より97,006人観客を集めている。またアウェイゲーム15試合でも、相手サポか遠征する浦和サポがメインかなどは分からないが、合計で38,985人多く相手の観客動員に貢献する。

また2010年に残留し、観客動員力を維持したFC東京は、昇格してきた柏と申し訳ないが入れ替えさせて頂くと、ホームゲーム14試合で181,066人多く観客を集め、またアウェイゲーム14試合で46,018人多く相手の観客動員に貢献する。

これらを合計すると、363,075人である。


これを28(252試合)終了時のJリーグ総入場者数である3,891,171人に合わせると、4,254,246人。252で割ると、1試合平均観客動員数は、16,882(小数点第1位繰上げ)だ。



『浦和レッズが好調で昨年度と同じ観客数を維持できており、FC東京がJ1に残留していたら、1試合平均観客動員数2,987人減ってのは結構なくなるのでは?』

この仮定での1試合平均観客動員数は16,882人。現在の15,441人に比べ1,441人増え、2010年の18,428人と比べると1546人減ということになる。

これって、結構なくなってると言えるのではないだろうか。確かに縮まったのは半分弱で、1試合に1,546人ずつ減っているのはまた別の要因ということになる。けれども、浦和とFC東京がいつもの調子でいるだけで、ここまで数字が改善されるものか。改めて人気クラブへの依存度の高さを示している、ということでもある。


『震災の影響とか、飽きられたとかじゃないのでは?』

ということで、別の要因は何かあるのだと思う。そんな感じで考えていたら、節ごとの平均観客動員数の推移のグラフを作ってくれた方がいた。@audrey1967さん、ありがとうございます!感謝!


http://p.twipple.jp/ZBL9A
(グラフデータはJリーグ公式サイトhttp://www.j-league.or.jp/ に基づく)


このグラフを見ると、今年の後半戦からはほぼ昨年と同様の観客動員数に回復していることが分かる。大きな差があるのは前半戦で、それは時期から考えると震災なのだろうと思う。

さらに震災の影響として、スケジュールの再編成により平日開催が増加したことが1試合平均観客動員数を大きく減らしている要因であろうことが読み取れる。あとは実感だが、前半戦は全国的に雨の中での開催が多かったように思う。このあたりの影響を含めて、今後ももう少し考えてみたい。


 
うむ、なんかすっきりまとまった!



2011/09/26

今一番読んでほしいマンガは『Baby Steps』である




ネタバレをほぼせずにその作品の魅力を語るというのはとても難しいけれど、このマンガなら語れそうな気がする!


今回は、週刊少年マガジンで連載中の『ベイビーステップ』というテニスマンガについて。超面白いので、みんなコミックス買って読むべきです!って言いたいエントリです。



僕が『ベイビーステップ』を薦める理由は、絵が上手いからではありません。題材のテニスが超カッコいいスポーツだからでもありません。ヒロインのなっちゃんが超絶かわいいからです!
この作品をみんなに猛烈に読んでほしいのは、今を生きる僕らにとって大切な「現代版の」努力・根性・勝利のモデルになってくれているんじゃないかと思うからです。もっと言ってしまうと、こういう生き方ができれば、何をおいても人生成功するはず。不確実なこの時代に、僕らは主人公のエーちゃんの生き方をちょっと意識して日々を過ごすといいんじゃないかと思うのです。

・自分も頑張ろう!と思えるマンガ。
・挫折レスな人間になろう。
・成長は、一歩一歩を踏み出し続ける姿勢から生まれる。

このあたりの雰囲気を良いほうに感じ取ってもらえたら僕は満足!




マンガの主人公はいつも魅力的です。『ONE PIECE』のルフィしかり、『宇宙兄弟』のムッタしかり、『君に届け』の爽子しかり、『HUNTER×HUNTER』のゴンさんしかり。もっとも最近は「主人公よりもその周辺がめっちゃ魅力的」や「そもそも主人公の出番が少ない。なあ一護」なマンガスタイルが普通になった気配もありますが、丁寧に描かれるキャラクターの心理や勇気ある行動などに僕らは心を打たれ、「よし、俺も頑張ろう!」とか思ったりする。そして『ベイビーステップ』の丸尾栄一郎(あだ名はエーちゃん)は、まさに僕がこう思わされてしまう、魅力的な主人公なのです。

 『ベイビーステップ』はとても地味でシンプルな物語構造をしています。エーちゃんがテニスという没頭できるものを見つけ、その周りにある友人やコーチ、練習や試合やなっちゃんを通じて成長していく。それを読者に丁寧に追体験させているという、「成長って楽しいねマンガ」です。テニスシーンには華のあるマンガ的展開が皆無です(それは試合が面白くないことを意味しません。めちゃくちゃアツく、面白いです)。

エーちゃんは何のすごい特殊能力も持っていない、普通の人間です。目は良いんですが身体能力に優れているわけではなく、そもそも高校からテニスを始めた素人なので、技術に秀でているわけでもない。特殊能力が無いというのは、僕ら読者にとても近いキャラクターですね。

けれどもエーちゃんには、最高のメンタリティがあります。スポーツマンガでは考えられないことですが、エーちゃんには作中で「挫折」するシーンがありません。いつもいつもいつも考え続け、実行して、を繰り返している。「PDCAサイクルを超高速で回し続けている人間」といえば、動きの激しい業界で働く人などに魅力が伝わるでしょうか。



僕らは今まで、成長のためには挫折が付き物のように感じていませんでしたか?それが人間には当たり前のもののように感じていないでしょうか?
完璧のように見える『キャプテン翼』の大空翼だってある試合では「ダメだ…勝てない…」とか呟いて跪いたりしていました。これは翼はその時には本気でそう思って呟いているんです。そして読者も。
相手が強すぎて思考停止しているシーンがあり、「ああ…もうダメだ…」と読者に思わせといて、まだだ!って状況が変化したり誰かがアドバイスくれたりがあって、見事復活(成長)!そして勝利!こんな流れ。マンガの展開をドラマチックにするための手法として、マイナスにしてからの大幅プラス転換というのはセオリーですね。『SLAM DUNK』の山王戦のゴリなんかを思い出してもらえるといいかも。




ところがエーちゃんは挫折しない。どれだけやられても思考停止しない。ドラマチック成長のセオリーを基本的に無視しています。この辺は「展開が地味」との評価を受けるかもしれません。
けれどもエーちゃんは一方で僕らに「挫折しなければ成長できないって、遅くね?」って語りかけてくるんです。エーちゃんは負けて落ち込んだりすることはありますが、その落ち込みは次の瞬間には貴重なデータ、急速な成長のための布石にしかなっていないのです。

周りが不気味に思うくらい、エーちゃんは着実に実力を伸ばし続けています。等身大の自分の実力をすべて出し切っては振り返り、修正して次のプレーに臨む。この繰り返しの最先端に彼は立っている。挫折っぽいことを経験しては成長するという、僕らの成長に対する鈍重な考え方を変えてくれる。「遅い遅い。もうそんなんでいい時代じゃないんだよ」って感じに。


これは現代を生きる僕らがとても「こうありたい!」と願うべき態度ではないでしょうか。
僕らが生活している中で、挫折なんかそうそう訪れてくれません。もちろん訪れることはあるし、そこで成長できる人が良いのは当たり前のことですが、成長の度合いを考えるならそれより重要なことは、普段の生活の中でも軽いカベを設定し、どうすれば越えられるかを分析し、越えた喜びを活かして次のカベを設定する。この不断の態度にあると思うんです。


先日内定を頂いた企業の方が、企業をどのように成長させるのかについてこう答えていました。「PDCAサイクルを超高速で回し続ける」と。僕が凄いなあと思う友人もたまたまTwitterで全く同じことを呟いていました。
現代の成長物語は、巨大なカベを一気に乗り越えるよりも、小さくても無数にあるカベをどんどんと突破していくこと、そちらのほうにより重点があるように思います。この2011年を振り返ればよく分かるように、変化の多い時代です。この時代では大きな一歩を踏むことがなかなかにリスクが高いことを感じてしまいます。小さい一歩一歩を無数に踏み出し続けることで、そのリスクも抑えられるのですね。


もちろん、小さい無数のカベを乗り越える最終目的には巨大なカベ(エーちゃんなら、プロのテニス選手になって活躍すること)がある。それは今も昔も変わりません。目的の達成方法として、コツコツ型がスピードを上げたタイプが優位になりつつあるのではないかという思いが、エーちゃんを見ていて沸き上がってくるのです。

 エーちゃんの今設定しているカベは全国で優勝することという、端から見たら既にとても高いカベになっています。けれども彼は相変わらず一歩一歩を踏み出し続けているだけです。この安心感ある成長というのが、なんだかんだ言いながらも結局道から大きく外れることができない大多数の人間の、良いモデルになってほしいなと僕は思うのです。もし読むことがあれば、そういう自身の成長についても感じながら楽しんでほしいなと思います。





「幾度となく壁に当たる度に なんとか乗り越えようと全力で考えて その都度前を向いて立ち上がる君は 誰よりもこの試合を楽しんでるように見えた」(14巻P.126より)


これはエーちゃんが負けた試合で掛けられた言葉。
試合に勝とうが負けようが、見ていた人からこんな風に思われる人間になりたいですね。不器用だけど真面目であり、真摯で素直で正直であり、頑張り屋である。僕にとっての新たなヒーロー像となっているエーちゃんに興味を持ってくれた方は、そのまま180℃ターンして書店へ向かうか、amazonのページを開くといいと思いますw
 

2011/08/18

女の子とJリーグ




※訂正:序盤の女性の比率に間違いがあります。コメント欄でご指摘頂いた通り、リーグ全体とJ1のみのデータを一緒にみていました。リーグ全体の数に合わせると、1試合の女性の平均観客動員数は5418人(2004年)→4711(2010年)で約700人の減少になります。お騒がせしてすみません。


2011年のJリーグ平均観客動員数が落ち込んでいる。その原因を先の東日本大震災に求める意見は多い。
「生活することが何より重要だから、娯楽は二の次」
「自粛ムードだから」
だがこれらの意見、僕にはずっと違和感がある。震災により来れなくなった人を想像して責任を帰するよりも、やることがあるんじゃないの?

Jリーグは年間のべ900万人の観客動員数を誇る日本を代表するプロスポーツだが、Jリーグが公表している観戦者調査によると、1人あたりの平均観戦頻度は1214回ととても高い。それを考慮すると、年間6070万人ほどしかスタジアム観戦はしていないことになる。日本にいる残りの12700万人は、年間に1度もJリーグをスタジアムで観ていないわけだ。もちろんスタジアムは収容人数が限られており、年間数千万人がスタジアム観戦経験を持つことは制度上あり得ない。しかし、これだけ多くの人が通常の状態でもJリーグ未観戦なのだ。震災という自然現象に観客動員数を左右されている場合ではないのでは?

僕は、Jリーグの観戦者調査を眺めていて、女性の比率が減少しつつあることに気がついた。2004年の1試合平均観客動員数は18965人。そのうち42.3%は女性であった。女性の観客動員数は8022人となる。対して2010年はどうか。1試合平均観客動員数は18428人、そのうち女性は38.5%。女性の観客動員数は7094人。6年間で、女性の数は1試合に1000人も減っている。

女性が大幅に減少する理由は何があるのだろう。もともとスポーツ観戦は男性が多い。世界のサッカーリーグを見渡しても、Jリーグの女性観客の比率はとても高い。そのJリーグから女性が減少している事実を、もっと深く検討していくべきではないだろうか。

Jリーグは2010年に女性モデルを起用して特に若い女性の増加を狙ったが、特に効果はないようだ。Jリーグの行っているPRは若い女性に届いていない、もしくは伝えるべき魅力がとてもズレている。若い女性は自由時間に何を求めているのか。若い女性がスタジアム観戦でなく、他の活動を選ぶ理由は何か。スタジアム観戦が好きな女性が感じている魅力は、スタジアム観戦をしたことのない女性に的確に認識されているのか。それを明らかにするために、スタジアム観戦経験に違いのある3人の女性にインタビューを行った。

1Kさん(都内大学3年生、スタジアム観戦歴5年、ジェフ千葉サポーター)
2Iさん(都内大学3年生、プロ野球観戦好き、Jリーグ観戦歴2)
3Nさん(都内大学2年生、スポーツ観戦ほぼ無し)


  Jリーグのスタジアムにはどういった人が集まっているイメージがある?
K「サポーターがほとんどじゃないですかね。ユニフォームとかよりも、サポートするって自覚を持った人。精神的なサポーターが多いんじゃないですかね。」
I「幅広いから一概に言えないけど、皆何かしらのきっかけがあって、サッカーに興味を持っている人が来ている感じ。」
N「スポーツよっぽど好きな人なんだろうなあって。高校の時運動部でしたっていう人たちが行く感じ。女性でスポーツについて話す人が周りにいないから、女性はとても少ないイメージ。」

  スタジアム観戦の魅力はどういうところにあると思う?
K「ライブ感、お祭りの雰囲気。非日常空間に自分がいる感じが魅力。」
I「ワーッてした雰囲気は良い。」
N「盛り上がりとか、雰囲気を楽しみに行く。友達と一緒に楽しむ。私だったら皆でテレビを観ることでそれを代替できる気がするけれど。」

  スタジアム観戦のつまらなさはどういうところにあると思う?
K「応援してるチームが弱い。でもそれくらい。」
I「ゲームが膠着してる時って、なんであんなにつまんないんだろうね。海外のリーグの選手のハッとさせられるようなプレーはJリーグではなかった。あと、選手を知らないから、誰がどう活躍しても分からない。特に走り回っているから、なおさら。」
N「今どういう流れになってるのか分からない。ルールは教えてもらえれば済むけど、それだけじゃ分からないところが分からないと面白くないよね。でも、今の生活をしてたんじゃずっと分からないだろうなあ。誰かに連れて行ってもらって、説明してもらうことでもないと。テレビで実況やってても分からない。置いてかれている感じがするのがつまらないな。」

  自由時間はどんなことをして過ごしている?
K「ライブに行く、ショッピング、散歩、カラオケ、友達と美味しいご飯、楽器を弾く、テレビを観る、かな。自由時間の中ではサッカー観戦が優先になってます。」
I「演劇や舞台を観る、野球を観に行く、旅行、友達と飲む、ショッピング、ネットサーフィン。学業が忙しくて、自由時間は土日のどちらかくらいしか取れない。」
N「カラオケ、美味しいご飯、寝る、フラフラと散歩、本を読む。お祭りがやってたら行きたくなります。」

  自由時間の活動には何を求めている?
K「音楽ライブが好きなんですけど、ライブに行くのとスタジアムに行くのは同じだと思う。それぞれ音楽を聴く、サッカーを観るってメインの目的があって、それに付随する目的がある。美味しいご飯を食べられたり、新しい土地に行けることであったり、アーティストと直接握手することだったり。電車や飛行機に乗ったりして、初めて行く土地を歩くのも目的になっています。家でDVDを観るのでは、これらの付随する目的は得られませんよね。スタジアム観戦も同じで、5年のうち3年は負け越してるのにスタジアムに行く理由は『フクアリ』(ジェフ千葉のホームスタジアムの略称)だから。付随する色んな楽しい目的のためにスタジアムに行っている、ってのが正直なところです。ジェフ千葉にはそういう人は多いんじゃないかな。」
I「自分が持ってないものを持っている人を見るのが好き。舞台をやっていたことがあるから、観ると『私も頑張らなきゃ』と思う。学業での研究が苦しいので、それ以外には別の世界に行けるようなのを求めているのかな。」
N「ストレスの発散を求めているのかな。今の自由時間の過ごし方で、今週も頑張るかーくらいの元気は得られていると思う。学術サークルに所属していて勉強もしたいと思うので、勉強も自由時間に入るかも。」

  どうしたら、若い女性はJリーグのスタジアムに行くようになると思う?
K「露出度が重要なのかな。社会的にもイケメンで通りそうな選手をananみたいなファッション雑誌に露出させれば若い女性は気になると思う。よくPRもやっているっていうけど、やっていることを知られていなければ意味がないし。サッカー以外のところでの露出が効果があるんじゃないかな。どんなにJリーグで活躍しても、若い女性の人目には触れないじゃないですか。」
I「阪神の藤川球児選手が『良い試合をすることが一番のファンサービスじゃないか』と言ったことがある。良い試合をするには良い選手、良いコーチ…といった風に『良い』を積み重ねていく必要があるけれど、Jリーグはその『良い』の積み重ねが途中なんじゃないかな。サッカーはどんな選手がどこにいるか全然分からないから、良い選手がいるということを知らせることができれば行く人が出てくるのでは。それと、1人で行ったとしても楽しめる自信が無い。野球はスタジアムでの過ごし方、いつどこで何を観るといったことを分かっているけれど、サッカーは分からないので。女の子が多いからといって行くわけではないと思う。活躍できて、ファンサービスもできる人間的に魅力あるカッコいい選手がいればいいかな。今はネットで家にいながらタダで面白いものを見れるわけで、それに比べるとスタジアムは、メイクして、服を選んで、お金を払って、時間をかけて行くほどの価値があることかなあ、とも思うね。」
N「チケットが3000円から5000円くらいと高く、スタジアムも遠いイメージがある。散歩などお金のあまりかからないことが好きなので、ハードルが高く感じる。ファッション雑誌はほとんど読みません。お祭りが好きだから、楽しそうなお祭りがあると感じれば行くかも。観客層がイメージできないので、どんな服装でどんな女の子が観戦しているのかイメージできればスタジアム観戦に対する見方が変わるかも。まとめると、スポーツにはそれほど興味が持てないので、それ以外が面白いんだよっていう提案をしてくれたら行くかも。(「旅行やグルメとか?」)そう!旅行をすると現地で何をしようか結構迷ってしまって、その時にご当地グルメも食べられてピクニック気分で行けるお祭りがあると知ったら行くと思う。」


まず指摘したいのは、スタジアム観戦経験の少ない人ほど、どういう人がスタジアムに行っているのかのイメージと現実との間にズレを感じたということだ。数万人が集まるイベントなのだから同様の経歴、特長を持つ集団ではあり得ないのだが、スポーツの特殊性か、スポーツ経験者で、男性が多いという答えがあった。実際はスポーツ未経験者も多くいるように見受けられるし、10人に4人は女性である。それを周知させることは重要だろうか。

また、スポーツイベントがもたらす「お祭り感」については3人とも共通した見解を持っていた。現地でしか味わえないものがある、と皆が感じている。これはスポーツイベントが持つ武器といっていいだろう。自由時間の過ごし方も、お祭りなどの非日常空間に対する意識は高かった。お祭りに行きたいと感じる時にスタジアム観戦を提案できるかどうか、議論されるべきであろう。

以上を踏まえて質問した、どうしたら若い女性がJリーグのスタジアムに行くようになるかのアイデアについて特筆すべきなのは、3人とも「知らない」「知る術がない」という状態に対して触れていることだ。その中で僕は、Jリーグの楽しみ方のガイドが不足していることを感じた。スタジアムに観戦に訪れる人の多くはいわゆるコアな「サポーター」ではなくごく普通の人々であることが知られていないのは致命的だ。Jリーグとはどういったリーグで、どのような人が観に来ていて、こうした楽しみ方があります、といったガイドが必要である。Jリーグのスタジアム観戦好きなら、観光気分で観戦旅行プランを立てることや、スタジアムグルメを味わう楽しさがスタジアム観戦動機の少なからぬ部分を占めていることを知っているだろう。それをウェブサイト等でPRするのだ。Kさんの話す通り、Jリーグでどれほど選手が活躍しても、大半の女性の目には触れることがない。Jリーグは若い女性集客のためには、ピッチで行われるプレー以外の面を魅力として露出させるべきであり、その有効な案として、旅行、グルメ、ピクニックなどが挙げられる。スタジアム観戦に今まで興味のなかった層に向けて、観戦ガイドを提供することだ。

そうして知られた状態になって初めて、Jリーグのスタジアム観戦はその他の自由時間の過ごし方と同列に並ぶことができる。そこから先の集客の責任は、各クラブに委ねられていくはずだ。6年間で減少してしまった1000人の、いやそれ以上の数の女性たちがスタジアムを訪れることが、Jリーグの観客動員数が再び上昇に転じるためのカギだと感じている。


2011/08/17

Hello World!


初めまして。mitonistaです。


イギリスではロンドンが炎上し、日本ではまんべくんが炎上するいよいよな世紀末に、僕はのんきにもブログを始めました。炎上はさせたくないのでよろしくお願いします。


このブログの中身は、文字通りインサイトとキックについて。
つまり何かの出来事について洞察力を働かせて僕の意見を書くことと、僕の大好きなサッカーについてつらつら書くことになると思います。タイトルは暫定です。変じゃね?と突っ込まれたら「Insight KICKS!」にでもしようかと。どっちが良いかな?



さて、この第1回のエントリでは、ブログを始めようと思った理由を3つ書きます。ホントは108くらいある


1つ。ものごとをもっと深く考えようと思った。
2つ。自分の考えをもっと公表したいと思った。
3つ。自分の考えの不足や誤りを、堂々と修正していく勇気を持ちたいと思った。



1つ。
ものごとをもっと深く考えたいと思った。


深く考えろという状況下でのパフォーマンスを上げたいんじゃなくて、日常の、普段の思考のパフォーマンスを上げたいのです。様々な分野の人が集まる勉強会に参加したりする中で、考えるのは楽しいことだとは最近とても感じている。けれども、もっと“深く”考えるようになるためには、何かしら日常的にトレーニングのようなものが必要なんじゃないだろうか、とも感じていたのです。トレーニングなきサッカープレーヤーは、非常に厳しい見方をすれば、単に状況を頭の中にデータとして入力して、ボールを蹴るという出力をしてるだけなんじゃないか。


「よっしゃ今度から俺もっと深く考えちゃうもんね」っていう内的な決意だけでは不充分だったので、外的な刺激が必要と考えたのです。その点で「文章を書く場所をつくる」というのは非常に良い刺激だと思う。なぜなら、良い文章を書こうとすることは、下準備としてそれ以上に考えることを要求するから。


日常の思考のパフォーマンスを上げるためにブログを書きます。え、文章がヘタで読みにくい?お前ドコ中だよは、発展途上なんだよ!




2つ。
自分の考えをもっと公表したいと思った。


僕は大学生の間、自身の所属する“Sports Of Japan(SOJ)”というサークルで、インタビューをしたり取材をして、それをもとに記事を書き、メルマガ“SEEDS-net”で配信するという活動を結構していました。日本サッカー協会名誉会長の川淵三郎氏にもインタビューができました。もともと本を「この文章きれいだな」「リアル鬼ごっこワロタww」って感じながら読むことは好きだったし、人よりは少しだけ多く「公表」することに対して考えてきたように思う。


でもそれは、「スポーツ」という括りがあった。スポーツ科学を専攻している身だから、情報はいつも読者よりもこちら側が多く握っている。この状況って、人より考えてるとか鋭い洞察力を発揮しているとかはまっっったく関係なくて、持っている情報それだけで評価されている“可能性がある”んじゃないか?僕が誰かに置き換わっても、もしかして何も変わらないのでは?


僕は情報を持つのではなくて、その解釈をうまくしたい。立場や行動量で評価されるというよりも、洞察力で評価されたい。少なくともブログ上ではそう思うので、スポーツ以外のことについても積極的に自分の意見を書いていくことで、その洞察力を審査してもらいたいなーと考えています。

Twitterもこの点では非常に面白いです。レスポンスも多く、早くもらえています。けれども140字の制限や過去ログを辿る面倒臭さの問題があり、5mくらいの距離でキャッチボールしている感があります。10〜100mくらいのキャッチボールができそうなブログと併用することが、良い技術を持った野球選手になっていくためには重要だと思うわけです。




3つ。
自分の考えの不足や誤りを、堂々と修正していく勇気を持ちたいと思った。


例えば、これだっ!と主張したものが誰かによって明確に否定されたとき、あなたはどのように感じるでしょうか?Twitter上の議論とかでも会議でも、なんでもいいです。


恥ずかしい?言ったことを取り消したい?そっとその議論から外れる?
この気持ちは僕にはとてもよく分かります。分かりますっていうか、僕の率直な気持ちです。議論には負けたくないものです。自説の正しさは否定されたくないものです。負けたらもうそれを話題にしてほしくないのです。スポーツと同じです。


でも、それを認めてこそ初めて修正できて、成長できることがありますよね。
『SLAM DUNK』の安西先生は言いました。


「下手糞の 上級者への 道のりは 己が下手さを 知りて一歩目」
スポーツでなら当たり前のように語られる負けへの正直さを、なぜ議論(「考える」という競技)ではほったらかしにしちゃっているのでしょう。議論で勝ちたいなら、同時に負けがあることを認めなければならないはず。負けたら、それを最大限に活かそうと考えるのが僕には自然なのです。成長するための大原則のような気がするのです。これはスポーツをしていた人特有の発想でしょうか?決してそんなことはないはずです。

自分の考えの不足や誤りを認めるのは勇気がいります。それを修正するのはもっと勇気がいります。特にログの残るネットでは「お前この前逆のこと言ってたよな、ホラ」なんて証拠が非常に出しやすい。そうなると議論では負けも同然の様相を呈すので、発言が慎重になり、萎縮するような事態が起こりやすい。

僕は大したことのない人物なので、成長する必要があります。深く考えることのできる人間になりたいので、不足や誤りを指摘される思考の「負け」を最大限に活かそうと思います。僕は堂々と負けますし、堂々と修正をしていく勇気を持ちます。






以上がブログを始めようと思った理由です。ホントはあと105あるんだけど疲れたから後回しにしようまあ、実際にブログが盛り上がることはなかなかないでしょう。僕の一生懸命書いたエントリが、誰か偉い人や知識人によって完全に否定されてたので、それを僕が持ってきて過ちを認めて考え直すといったプロセスを経るのではないかと。


楽しんでやりたいと思います。読んでくれたら嬉しいです。
というか今回ここまで読んでくれている人いたらかなり嬉しいです。