2015/10/24

現代人を悩ます「不確実な未来」に対応するシナリオ・プランニング

『シナリオ・プランニング』(ウッディー・ウェイド、英治出版)を読んだ。

本書はこれまでの企業の戦略・長期計画の立て方では、現代の急激な外部環境の変化にうまく対応ができていないと述べており、その対処の手段としてシナリオ・プランニングを紹介している。『ビジネスモデル・ジェネレーション』と同じ本の形をしているが、こちらのほうが実践的ではるかに読みやすい。『ビジネスモデル・ジェネレーション』は現状把握がとてもやりやすいものの、外部環境の急激な変化や新しいモデルを描くのがとてもやりにくい面があるように思う。それをカバーしてくれるのが『シナリオ・プランニング』という理解でいる。
以下に納得できればシナリオ・プランニングの理解も実践も早く行えると思う。
・現代の問題は複雑化し将来への不確実性が高まっており、誰もが納得の行く将来ビジョンの設定が難しくなっている
・解決のための具体的な方法論が強く求められており、シナリオ・プランニングを推奨する
・シナリオ・プランニングは計画ではなく行動のためのツールであり、起きるか起きないか分からない複数の未来を描き、それに「備えよう」とすることに大きな意味がある
・未来は予測するものでなく想像する、そうして未来をポートフォリオで捉えることが重要だ。

企業戦略も細かな修正が必要な時代に?

具体的なシナリオ・プランニングの手法だが、決まった形はないと述べた上で、以下の順序で行っていく。ちなみに多様なバックグラウンドを持つ20人ほどで取り組むことを推奨しており、ここが最もハードルが高い。。
①課題を設定する
②情報を収集する
③未来を動かす「ドライビング・フォース(原動力)」を特定する
④未来を左右する「分かれ道」になるような要因を見つける
⑤シナリオを考える
⑥骨組みに肉付けし、ストーリーを描く
こうしてシナリオを(本書では2×2マトリクスを描くため4つ)複数描いたあとで、適宜の修正のために
⑦シナリオを検証し、追加の調査項目を特定する
⑧シナリオの意味をくみ取り、取りうる対応を決める
⑨目印(どのシナリオが実現しそうか、の)をさがす
⑩シナリオを観察し、更新する
上記のプロセスを経る。非常に分かりやすい。本書は半分はケーススタディになっており、新聞協会や島国の国家産業機構など豊富な作成例で参考になる。はず。
シナリオ・プランニングという手法自体は石油危機時代からあるようだが、現代の外部環境の変化が激しさから、PDCAのサイクルを超高速で回して云々という大きな流れが、開発からサービス運用、企画・営業のみならず企業戦略立案のレベルにまで及んできたと理解している。キーになっているのはやはり現状を精確に把握するためのデータアナリティクスではないかと感じるので、基本的な素養を身につけておきたいと思う。
ちなみにフットサル仲間が本書の出版に関わっており、とても元気をもらった。面白い本をありがとうございます!


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