『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』(ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー、日経BP社)を読んだ。
これだけ爆発的にヒットし若者の生活の一部と化したのに、未だ社長の名が知られるどころか姿さえそうそう見ることのない「企業としてのレッドブル」に焦点を当てた本。すごく面白い。★5つ!
レッドブルは1984年に、タイのクラティンデーンという栄養ドリンクに目をつけた元ユニリーバのディートリッヒ・マテシッツが設立した会社。成り立ちから製造に携わらず、マーケティングと販売の会社であることを運命づけられていた。マテシッツがメディアの前に意図的に姿を現したことは2度ほどしかないそうだ。レッドブル社で働く女性が「マテシッツ氏は実在するのですか!?」と取材中の著者に聞き返したとか。本当に謎めいている。
スポーツマーケティングの鬼
しかしマーケティングにおいては謎めいても何でもなく、名前の通り力強いブランディングによって世界市場を制圧した。「レッドブル、翼をさずける(‘RedBull gives you wings.’)」というコピーができるのに1年半も費やしたこと、レッドブルとアルコールを混ぜたドリンクに対して医者が警告を発するもののクラブの若者を中心に普及してしまっていること、数々のエクストリーム・スポーツを支援し、大会を作り、スポーツすら創ることで、アスリートやスポーツの持つ芸術性とレッドブル飲料を深く深く結びつけようとしていることなどが次々と語られる。「レッドブルを飲むということは、単に喉の渇きをいやすだけでなく、新しい世代のライフスタイルを体験することにほかならない」
特にページが割かれているのはスポーツマーケティング。F1のみでなく、サッカー、アイスホッケー、ウィンタースポーツなど。レッドブルは年感総売上の3分の1をマーケティングに費やし、そのうちの3分の1をスポーツに投入するという「ルール」があるようだ。サッカーはザルツブルグ、ニューヨーク、ライプチヒ(ドイツ下部)のクラブを買収し、さらにはあまり知られていないがブラジル・サンパウロ州2部のクラブ、ガーナ首都ソガコペのクラブを持ち、立派な育成施設を建ててヨーロッパのレッドブルクラブに送り込む流れを創ろうとしている。
動機、非オリジナル、独立自尊。
読み進めると、レッドブル社は栄養ドリンク以外にも数多くのビジネスに挑戦し、数多く失敗しているというのがわかる。成り立ちからしてまったく新しいプロダクトを生み出したりマーケティング手法をとったわけでなく来ている。ここでマテシッツが天才でもなんでもなく、基本に忠実な経営者であることが分かるのだ。
著者は彼から得られる教訓を
1.ビジネスはそれを始める動機が大切だということ
2.ビジネスの端緒となるアイデアはオリジナルである必要はないということ
3.経営における「独立自尊」が重要であるということ
とまとめている。多くの人が派手さからレッドブルをアメリカの企業と思っているが、実際はオーストリアに拠点を構える「非アメリカ的」な経営者なのだ。
1.ビジネスはそれを始める動機が大切だということ
2.ビジネスの端緒となるアイデアはオリジナルである必要はないということ
3.経営における「独立自尊」が重要であるということ
とまとめている。多くの人が派手さからレッドブルをアメリカの企業と思っているが、実際はオーストリアに拠点を構える「非アメリカ的」な経営者なのだ。
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